蒸し製世知原茶の元祖
荒茶の製造段階で一番最初に行われるのが「蒸し」。この蒸し時間が、お茶を注いだ時の色や、香りに影響してきます。
国内で作られるお茶の8割が蒸し時間の短い浅蒸しの煎茶です。蒸しの浅いお茶は、真っ直ぐに伸びた形で粉が少なく、淹れた水色は緑がかった金色透明です。それに対して深蒸し茶はより長く蒸します。
静岡で発祥した製法で、それが時代とともに全国に広がっていきました。濃い緑色の水色で、渋みが抑えられた濃厚な味が特徴です。
釜煎り茶ばかりだった世知原で、当店はいち早く蒸し製法を採り入れた蒸し製世知原茶の元祖です。
それ以来、小林ではずっと蒸し製法にこだわってきました。それも簡単にできる浅蒸しではなく深蒸しにです。
どんな茶葉でも深蒸しできるわけではありません。茶葉深蒸しに耐えられる茶葉のチカラが必要です。形を残しながら、蒸しを強く。強く蒸すと茶葉はくだけますが、チカラのある成葉は形を留めます。そこには職人の勘と経験が必要とされます。
さらに深蒸しされたお茶を丹念に選別する事で、いきいきとした味と香りを引き出しているのです。